測定機器の校正管理110番

測定器の校正とは?

校正とは、標準器を用いて測定機器が表示する値と標準器による真の値の関係を求めることです。
測定機器も長年使用していると「ズレ」が発生します。
定期的に校正を受けることで、測定機器は信頼性を確保することができます。
日常点検や月次点検と校正は異なります。
人間でいうと「健康診断」のようなもので、測定機器の現状把握ということになります。

校正をする理由

ISO9001 7.1.5.2 測定のトレーサビリティの要求事項には、「定められた間隔で又は使用前に,国際計量標準又は国家計量標準に対して
トレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証、又はそれらの両方を行う。
そのような標準が存在しない場合には、校正又は検証に用いたよりどころを、文書化した情報として保持する。」とあります。

つまり、校正の必要性は、ISO9001の要求を満たす目的だけではなく、自社製品の品質・仕様の確保・保全のためにも必要になるものです。

測定機器は経年変化などにより誤差を生ずることがあり、その誤差が測定精度に影響しないことを確認するために校正をする必要があるということです。

校正の種類

大きく分類すると、校正作業はメーカーや専門業者に委託する「外部校正」と 標準器を使用して自社で行う「社内校正」があります。
外部委託すると、「校正証明書」・「検査成績書」・「トレーサビリティ体系図」といった 書類を発行する事で、その測定機器に不具合が無かったかどうかを証明してくれます。
社内校正は標準器を購入して、社内にて外部校正と同じことを行います。
一般的にスモールツール等は校正用ブロックゲージ等を購入して、周期的に複数ポイントのチェックを行い、不具合がないかチェックします。
これらの作業内容は長期間の記録保管が義務付けられています。

トレーサビリティ体系図

ISO等で要求される校正を満たすには、比較対象となる標準器が、国際・国家計量標準にトレーサブル(追跡可能)になっている必要があります。
トレーサビリティ体系図は、校正に用いた機器の校正経路を記載した書類です。

上位にさかのぼることで、どのような標準器を使って校正が行われたかを明らかにします。
最上位は国際・国家計量標準にたどり着くことが分かるように記載された書類です。
いわゆる、校正に対しての「お墨付き」と言えます。

一般的には、「校正検査表」「校正証明書」「トレーサビリティ体系図」の3点セットが校正で必要な書類と言われています。

  ※JCSSロゴ付の校正証明は3点セットは不要

【補足】

JCSSのロゴが入った証明書(NITE認定事業者)の方が認知度は高いですが、 ロゴが入っていなくても検査成績書や上位標準器の証明書があれば問題ない場合も少なくはありません。 国家標準は主に産業技術総合研究所(産総研)や特定のメーカー等が保有しています。

※JCSS(Japan Calibration Service System)※ NITE IAJAPAN(製品評価技術基盤機構)※国際MRA(相互承認協定I)認定事業者はILAC MRA 付き JCSSロゴが使用可

測定機器管理

ISO9001 7.1.5.1 一般の要求事項には、「要求事項に対する製品及びサービスの適合を検証するために監視又は測定を用いる場合、組織は、結果が妥当で信頼できるものであることを確実にするために必要な資源を明確にし、提供しなければならない。」とあります。

これには、適切な測定機器の選択、管理、校正などはもちろんのこと、“資源”という言葉には、物理的なものだけではなく、その機器や設備が正確に機能するための環境条件(例えば温度や湿度など)も管理対象に含まれております。

以上のことから、測定機器を適切に管理するためには、以下3つのポイントが重要です。

  1. 定期的に校正されており、その結果が記録されているまた、校正が必要な機器が明確に識別されて、状況が一目でわかるように管理されている
  2. 校正によりが不適合になった測定機器の場合、その影響を受けた製品の特定ができ、確認と対応ができる
  3. 測定機器の校正結果とその校正を行った組織や個人の情報が記録として保管され、後に必要な際に確認できること(トレーサビリティ)

これら3つのポイントを満たす測定機器管理ツールが測定機器校正管理ソフトウェア「QC PRO CX」です。

測定機器校正管理ソフトウェア QCプロCX

特徴

  • 操作が簡単(テレメジャーⅡ対応)
  • 測定機器情報や校正記録などすべての情報はデータベース(Microsoft SQL Server)に保存、大量のデータを長期間保有することができる
  • 測定機器一覧から「使用中」「未使用」「不合格」「廃却」を一目で確認
  • 部署ごとなど、必要な相手へ「回収指示書」を発行し測定機器の未回収を防ぐ
  • 決まった相手・日時に「回収指示書」を自動でメール送信(オプション)
  • ブロックゲージなどの標準器を登録して、校正後の「校正検査表」「校正証明書」「トレーサビリティ体系図」の電子データを登録しておけば適切な管理状態の証明に
  • 社内校正の場合「合格」「不合格」「注意」を自動判定
  • 検査成績表や過去の履歴(校正明細表)も1クリックで発行
  • 様々な書類やファイルを紐づけすれば、必要な時にいつでも確認が可能
  • 作業者(ログイン)ごとの機能制限でセキュリティ対策も万全(オプション)
  • データベースの自動バックアップ機能(最大8回/日)…バックアップ作業を決まった時間に実行することができます。(オプション)
  • 校正回収指示書のメール送信機能…指定メールアドレスまたは保管責任者宛てに、回収指示書をメールに添付して送信します。メール送信日および校正期間を自由に設定することができます。(オプション)
  • QCプロCXのユーザー毎に各機能の使用制限をかけることができます。(オプション)
  • QCプロCXの使用時にID・PASS入力を設定することができます。(オプション)