PCトルクアナライザーは、タッピンねじや小ねじなどのねじ締めトルクを動的に分析して最適な締付条件を選定するために開発されたねじ締めトルク試験・解析システムです。
今までのトルク試験機では、ねじ締めに伴って変化するトルク値をグラフ表示するには、大掛かりな試験設備が必要でしたが、PCトルクアナライザーは複雑なトルク分析機器の代りにトルクセンサからの高速なねじ締めトルクの動的信号をA/D変換してパソコンとUSB接続することにより、瞬時にパソコン画面にトルクデータをグラフ表示して解析します。
従来まで主流であったトルク分析機器による試験は、実際の組立現場で使用する高速電動ドライバなどと異なり、低速の試験しかできませんでした。また、専用のテストピースの製作も必要でした。 PCトルクアナライザーは、製造現場と同じ締付条件による試験ができ、しかも統計的手法を用いて目標締付トルクを公差付きで表示します。試験機本体は、パソコンから任意の回転数や停止トルクの設定ができるACサーボ型と、実際の製造現場で使用いている電気ドライバを装着した電気ドライバ型の2種類を用意しています。
また、PCトルクアナライザーVer.5には新たに「軸力解析機能」をオプションで追加することができるようになりました。 回転数他、実際の締付条件での軸力解析ができます。
→「PCトルクアナライザー」バージョン別機能比較表(PDF)
これにより、高速締付試験に於いて着座手前で低速回転に回転数を 自動で切り換え、指定トルクで締付けることが可能になります。
- カタログと投稿論文
- おすすめポイント
- 実際のワークと締付条件で試験ができます。
- 統計的手法を用いて目標締付トルクが±公差付きで瞬時に表示されます。
- タッピンねじの最適な下穴、種類、締付条件が選定できます。
- USB接続で市販のパソコンが使用できます。(注1)
- 試験報告書がグラフ付で瞬時に作成できます。
- データはエクセルに変換できます。
- 着座してからの回転角度がグラフ表示できます。
- 軸力オプションが追加できます。
- 2段締め機能により指定トルクで締付けることができます。(特許出願中)
(注1)PCとのUSB接続をご希望の場合は、ADコンバータ(TA-USB)が別途必要となります。
- 製品名
- 動作環境と制限事項
- 動作OS:ソフトウェアOS対応表
- CPU:インテル(R) Core i7 相当以上
- メモリ:8GB以上
- ハードディスク:Cドライブに10GB以上の空き容量
- Microsoft .Net Framework:4.6.1以降
- トルク試験機とのデータ接続:USB2.0またはPCIバススロットAD変換ボード
- ACサーボモータコントローラとの接続:USB2.0
- 空きUSB2.0が2ポート以上必須(3ポート以上推奨)
- 二面幅6.35mm、片頭ビットのボール溝から13mmのビットをご使用下さい。
(注)両頭ビットや9.5mmを使用するとガタつき・焼き付けの原因になります。
※改良のため予告なく変更する場合があります。
※Windows/ExcelはMicrosoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。
- トルク試験機本体標準仕様
仕様 | ACサーボモータ型 | 電気ドライバ型 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
型式TRQ | 0.5ACU | 1ACU | 2ACU | 5AGU | 10AGU | 20ACU | 50AGU | 1DRU | 2DRU | 5DRU |
最大トルク N・m | 0.5 | 1 | 2 | 5 | 10 | 20 | 50 | 1 | 2 | 5 |
主軸駆動 | 200W | 400W | 3.5KW | 3.5KW | DLV7120 | DLV7130 | DLV7251 | |||
回転数 r.p.m | 1~4,500 | 1~1,200 | 1~3,000 | 1~1,000 | 1,000 | 700 | ||||
減速比 | 1:1 | 1/5ギヤ | 1:1 | 1/5ギヤ | 1:1 | |||||
電源 | AC100V | 3P200V | AC100V | AC100V | ||||||
スラスト荷重N | 0~30 | 0~50 | 0~100 | 0~150 | 0~200 | 0~350 | 30 | 40 | 50 | |
ビットホルダ | HIOS-H4 | VESSEL六角6.35 | HIOS-H4 | VESSEL六角6.35 |
- PCトルクアナライザーVer.5(ソフトウェア)の基本機能
着座に必要なねじ込みトルク:TDを自動サーチして瞬時に表示します。
目標締付トルク:TSを統計的手法により瞬時に公差付きでビジュアルに表示します。
破壊トルク:TFを正規分布曲線付のヒストグラム表示します。
ねじ込みトルク:TDを自動検出してTF同様にヒストグラム表示します。
グラフのX軸は時間軸(単位ms)、Y軸はトルク値で有効桁数等を自由に設定できます。目盛設定機能で見やすいグラフ表示やグラフの部分拡大ができます。
<統計的手法によるTS計算式>
TS=(TSmax+TSmin)/2
TSmax=TFの平均値-(k × TFの標準偏差)
TSmin=TDの平均値+(k × TDの標準偏差)
<従来のTS計算式>
TS=(TD+TF)/2 × k
実際に組み立てしているワークで試験ができます。
- 面倒なテストピースの製作は不要です。
一般のトルク試験機は専用のテストピースを作成して試験を行います。
しかし、実際のワークと違うテストピースでの試験では試験結果が異なります。 - 高速回転でのトルク試験が行えます。
一般のトルク試験機は、毎分数回転と低速で実際の条件とは大きく異なります。本試験機は、実際のねじ締め条件での回転数で試験を行うことができます。
試験条件が一目瞭然です。
- ねじ込み試験、戻し試験、繰り返し試験から選択
- 単位はN・m、N・CM、Kgf・CM、lbf・inの4種類
- 試験報告書フォームは30種類をご用意
- 項目名を自由に変更
- 同じ試験条件は入力項目を自動コピー
- その他の機能
ねじの緩みの戻しトルクを自動検出してマイナストルク値として表示します。
ねじの緩みは駆動穴(リセス)を駆動することなく、主に軸直角振動などでねじが戻り回転することにより起こります。
そこで、ねじの緩み試験を行う為には、なるべくゆっくりな回転数で、その戻しトルクをグラフ表示して、戻し回転始動トルク:TL(Loosening Torque)を検出することにより、ねじの緩み特性を解析します。TLはTD、TF同様に正規分布曲線付のヒストグラム表示できます。
※図は毎分10回転の低速回転での緩みトルク曲線です。
ねじ込み試験と戻し試験を自動で交互に切換ができます。
タッピンねじはメンテナンスでの繰り返し使用には不向きと言われています。そこで、タッピンねじの品質特性に繰り返し試験の要求事項があります。
パソコンの切換操作することなく締付トルク試験と戻し試験を自動で交互に切り替えて繰り返し試験を行うことができます。
試験データは一つのデータファイルに「締付トルク」と「戻しトルク」を連続して表示します。タッピンねじの繰り返し使用の限界回数を測定するには便利な機能です。
実際の締付トルクを増し締め試験によりトルクを図形解析して測定できます。
既に締付されているねじが、実際にはどの位のトルクで締付されているのかを測定する為には、10rpm以下の低速回転での増し締め試験で行います。この時の締付トルクをグラフ表示し、二つの変曲点を見つけ出します。
この変曲点は、ゆっくりな増し締めにより、ねじが再度ねじ締め回転を開始するために現れる最大静止摩擦力点と動摩擦力点で、これをグラフ表示したものです。 そして動摩擦力点が実際に締付されている締付トルク値です。クリープ(軸力低下)を測定するには便利な機能です。
※図は毎分6回転の低速回転での増し締めトルク曲線です。
本試験機のトルク校正を付属品の専用校正キットで自社校正できます。
校正記録の履歴を保存できるので校正の管理が簡単です。
履歴を呼び出せば、パソコンの再インストール時などの校正作業を省略することもできます。
面倒なグラフの拡大・縮小・切貼やワープロ操作は不要です。
試験前に入力した試験条件を自動で試験報告書のフォーマットに挿入して印刷できます。試験報告書の標準フォーマット(エクセル形式)は、用途に合わせて30種類を標準で用意しています。エクセル形式でのグラフつき帳票印刷のため、自由に編集やフォーマット作成が可能です。
トルクグラフの塗潰しの有無や色は、自由に設定・変更でき、カラープリンタで印刷できます。帳票フォーマットに合わせてトルクグラフは、自動で拡大縮小してbmp形式で貼付します。
試験報告書は、エクセル形式でパソコンに保存できる為、本ソフトウェアがインストールされていないパソコンでの表示や印刷、メールでの添付ファイル送信も可能です。
トルクデータをサンプリング数値として取り出してエクセル変換後、CSV出力もできます。
グラフデータは、1/1000秒ごとの個別データとして出力することができるので、他の解析ソフトウェアでの解析も可能です。
- 軸力解析機能(軸力オプション)
- 名称:軸力オプション
- 対応OS : Windows7/8/8.1/10
- 対応ソフトウェア:PCトルクアナライザーVer.5
(PCトルクアナライザーVer.3/Ver4.に軸力オプションを追加するにはVer.5にバージョンアップする必要があります。)
「軸力」とは、ねじ部が締結により引っ張られる力で、下図の締結部材Aと被締結部材Bが密着する力です。ねじ締付力、または締結力とも言いその単位はN、またはkNで表記します。
←左のグラフは下記締付条件での実際のデータです。
相 手 材 料 :φ4穴1mm厚鉄板+ABS樹脂
下穴・形状 :φ2.6通り穴 6mm
めねじ長さ :6mm
ねじの種類 :十字穴 なべタッピンB
ねじの呼び :3×12
材質・表面 :3価クロメート(SWCH18A)
回 転 数 :300r.p.m
横軸Xにトルク目盛、縦軸Yに軸力目盛のグラフ表示に切り替えることにより、トルクと軸力の関係が分かります。 最適締付トルクのTS範囲内では、そのTS範囲内に対応する最適締付軸力のFSは、ほぼ直線になっています。そこで、TS範囲内では下記の「トルク-軸力」関係式が成立します。
T=uk・F+TP
T:トルク(N・m) F:軸力(kN) TP:着座点トルク(N・m)
uk:実証トルク係数(弊社が提唱している実際の締付条件でのトルク係数)
左図では、uk=0.766 TP=0.17となり、「トルク-軸力」の関係式は、T=0.766×F+0.17となります。
実際の締付条件で得られた実証トルク係数:ukを用いることにより、同条件であればトルク測定のみで、締付軸力が算出できます。
横軸Xに角度目盛、縦軸Yに軸力目盛のグラフ表示により、着座してからの破壊するまでの締付角度が分かります。
左図では、締付角度115.2°で破壊し、目標締付軸力は64.8° となります。
同様に<トルク-角度グラフ>も表示できます。
※角度グラフはACサーボ型のみの機能です
センサ方式:水晶圧電式
キスラー社(スイス)製
対応ねじ径 | 内径 | 外径 | 厚さ | 測定範囲 |
mm | mm | mm | kN | |
M2.6以下 | 2.7 | 8.0 | 3.0 | 0~3 |
M3~M4 | 4.1 | 12.0 | 3.0 | 0~7 |
M5~M6 | 6.1 | 16.0 | 3.5 | 0~14 |
- 弊社で校正デジタル値を記した検査成績表を添付して出荷します。
- 試験用ねじの長さはセンサの厚さ分(3.0または3.5mm)の長いねじを使用してください。
動作電源 | AC100V |
データ入力 | トルクと軸力の2軸入力 |
(トルクのみでも動作可能) | |
データ出力 | USB出力 |
分解能:16ビット | |
形状寸法 | W185×H80×D150 mm |
- 本軸力解析機能オプションは東京都中小企業振興公社の平成26年度「試作品等顧客ニーズ評価・改良支援事業 【製品等改良】」の助成により、開発・商品化されたものです。
- 本軸力解析機能オプションには特許出願中の技術が含まれています。
- トルク試験実施中!
PCトルクアナライザーを使用したトルク解析サービスを下記販売代理店にて実施しております。
詳細は、各ホームページよりお問合せ下さい。
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